論文概要

タイトル:マルチエージェントシステムを用いた、移動通信移動局側の受信電力改善
Research on reliable communication mobile station using multi multi-agent system
恩田 宗和(博士(前期)課程)

携帯電話の普及にともないサービスエリアを構成する基地局も増設されている。 基地局の設置が終わった後、基地局の運用開始前に通話環境のチェックを行う。 チェックの際、発信、着信できない、通話の時にノイズが入る、通話が途中で切断されるといった状態が現れた場合、最適化と呼ばれる作業が行われる。 最適化では改善を行う方法は、RF的解決方法とパラメータ解決方法がある。 方法の選択は専門家が決定を行っている。 しかし、最初に選択した方法で改善されなかった場合、最適化をやり直すことになり、非常に時間がかかるという問題がある。

そこで、本研究では基地局がお互いに影響を及ぼしあう環境にあることに着目して、基地局それぞれをエージェントと見なしてお互いに交渉し、RF的解決を行わせる方法を提案する。これにより、専門家が改善案の検討時にエージェントの交渉で出された解を元にして改善案の検討ができる。そのため最適化における専門家の検討を補助することができるので、最適化を効率良く行うことができる。エージェントの交渉の方法としては、Multistage-Negotiationの考え方を用いる。これにより、エージェント間交渉において基地局の資源であるアンテナ出力やアンテナチルトの割り当てに関して競合を避けることができる。本論文では、マルチエージェントシステムを用いた基地局同士の交渉の方法を中心に示す。