論文概要

タイトル:Lyeeの単語別プログラム構造確立の科学的考察
Scientific Research into Establishment of Lyee's Word-based Program Structure
著者:八木橋 英男(博士(前期)課程)

 本論文は、根来文生氏が発明したLyeeという新しいソフトウェア方法論の中核をなす単語別プログラム構造確立について、科学的に考察したものである。
 Lyeeの単語別プログラム構造は、これまでの機能的アプローチとは異なり、人間が意味を頭の中で確立する構造を仮設し、それをプログラム化したものである。その結果、DOA(データ中心アプローチ)の研究者が追求してできなかった単語別プログラム構造が得られ、且つその構造は単語の違いに関わらず同じ構造となった。
 Lyeeでは、画面・帳票・単語情報(単語名、生成条件、生成式)が与えられれば、プログラムは自動生成されることになり、プログラムの開発期間、コストは飛躍的に削減され、品質も格段に向上することとなった。
 単語別のプログラム構造の構成要素は、(1)単語別プログラム構造(論理要素)、(2)イタレーションの仕組み、(3)処理経路図が基本となっている。
 入力・出力単語に対応する論理要素を3つのパレットに配置し、パレットの実行順序を処理経路図に従い制御することで、特に論理要素間やパレット間の実行順序・組み合わせを設計しないでも、従来と同じ機能を果たすことが可能となった。そのことを可能としているのが、パレット内、パレット間おいたレーションの仕組みである。
 単語別プログラム構造の基本3要素は、Lyeeの理論により導出されている。理論では意味をなす存在の構成単位として連鎖という概念を仮設する。連鎖は論理原子の集合とそれを代表する等価原子のペアで定義される。そして全ての減少の元として意識連鎖が存在し、そこから確立廉ら、事象連鎖、多重連鎖を経て自然連鎖が生成される。そして、自然連鎖と意識連鎖がある特殊な状態(同期状態)で結合したとき、初めて自然連鎖の一部の属性が現象化するというものである。
 論理要素の構造は、この仮設の連想順序を逆転し、入力単語の自然連鎖を利用して電算機乗で確立連鎖、事象連鎖、多重連鎖を作成する為の構造から得られ、且つ論理要素を集めるパレットは、各連鎖の等価原子が作成する空間と対応づけられている。
 同期状態は、二つの空間に属する自然連鎖と意識連鎖を持つ美つけるもので、とても独創的仮設から導出されるが、その根拠を無限集合論で説明してみると、自然連鎖が作成する全体無限集合と意識連鎖の部分有限集合が、無限集合のベキ集合を介在して成立することが説明づけられる。