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特色・独創的な点
本プロジェクトの新規性、独創性としては以下の点が挙げられる。
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『感情を介した機械応答の保証』:
これまでの機械応答は、テキスト(発話内容)レベルで試みられている。これに対し本研究では、テキストに潜む感情を陽にし、それを活用することによって、
思考、意図、意思をより正確に伝達することを可能としている。理解において言外の情報を利用する研究は存在するが、応答にまで拡張することを意図した研究
は他に類を見ない。
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『マルチモーダルな情報を統合したインタラクティブなインタフェースの実現』:
本プロジェクトでは、表情、ジェスチャ、音声という異なる媒体によって得られる情報を推論により融合し、相補的に活用する。表情、ジェスチャ、音声それぞれに対する研究は多くあるが、それらを融合する広い視野に基づく研究は少ない。
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『文化的視点からの感情表現の理解』:
これまでに表情やジェスチャ、音声などから感情の推測を試みる研究は行われてきているが、これらは統計的処理に基づくものがほとんどである。これに対し、
本プロジェクトでは、人間の感情表現を見直し、文化的視点からそれを解析することを試みている。これは従来の手法と大きく異なり、ほかに類を見ない手法で
ある。これにより感情表現・感情認識の深い理解が得られることが期待できる。
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『文書からの認知モデルの導出』:
従来の文書解析においては、語句の抽出や文構造の解析などの表層的な解析や単純なレベルでの意味解析が試みられている。しかし文書には、言外に含まれる情
報も多く、それらの理解は読み手によって異なる。この点については、ほとんど研究が試みられていない。また試みられている研究は表層的なものが多い。これ
に対し、本プロジェクトでは感情に着目することによって、より深い理解を試み、文書から認知モデルを導出する。これは従来の文書解析とは異なる観点であ
る。また従来の認知モデルは、心理学の観点から構築されることが一般的である。これに対し本研究では、文書からの認知モデル構築を試みる。
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『文化的、感情的側面も考慮した自然言語処理の実現』:
本プロジェクトで構築を試みる賢治システムは感情も考慮した推論が行う。これは従来ほとんど考慮されていない感情のやり取りを可能にすることができる。こ
れにより感情が伝わらないことによるストレスの軽減に貢献する。この技術は、インターネットはもとよりコンピュータを活用できる多くの場において人を支援
するシステムとしての活用が期待できる。